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          メール・マガジン

     「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第067号     ’00−11−10★

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     聴く耳、聴く心

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●いつもながらの快刀乱麻、

大前研一氏の「ガラポン2000」なるTV番組は、私のお気に入り。

読者諸氏の多くも視聴なさっていらっしゃるでしょう。

 

テーマが何であろうと、アッサリ、バッサリ。  胸のすく思いです

が、<英語>が取り上げられた時は特に面白かった。  たとえば、

 

TOEFL受験者数で世界最多を誇る?日本だが、成績はアジアの中

ですら最下位のレベルだという話。 それはすでにほかでも読んだか

聞いたかしていたことだけれど、その締めくくりの一言。

 

「<鎖国状態>の北朝鮮より悪い成績なんだから、、」と。  うむ、

<鎖国>とはうまい。  あの<別世界>ぶり、まさに! ですな。

 

一方の我が国、海外旅行だ、留学だ、国際化だ、と騒ぎ立てて何十年。

それでそんな程度だったのか。  英語のダメさ加減、半端じゃない、、

ピンと来ます。

 

比較対象の選び方ですな、ポイントは。 さすがプロフェッショナル、、

 

 

しかしTOEFL、そんなに難しいのか?  幸い?私は知りません。

受けたことも、受ける予定も無い。  従って、研究したことも無い。

 

聞いたところでは、TOEFLの試験は<聴き取り>から始まるそう

ですな。  <読み>か<書き>から始まってくれりゃ、それなりに

点は取れるはず。 そうすりゃ勢いがつく。 もっと点数が取れる、、

かも知れないのに、聴き取りからじゃねえ、、  どうやら、

 

日本人が一番苦手とするところのようです。 出足からガックリ、で

失速してしまうらしい。  オリンピックやF1にもある、日本人を

勝たせないためにルールが<改正>されるとかいう、あのテかな?

 

現実の会話では、その気があれば、分かるまで質問を繰り返すことも、

ユックリ喋ってくれと頼むことも自由。  話が通じなきゃ困るのは

お互い様ですからね。  しかし、試験じゃそうも行かない、、、

 

*   *

 

でも、どうして聴き取れない?  要するに、声は聞こえても意味が

<取れない>んですな。  <聞こえて>いる、と本人は思うだろう

けれど、脳は相手の発している<音>を認識しない。  だから、

 

たとえ語彙のストックがあっても、それとの照合が出来ない、何とか

照合できても間に合わない。  いずれにせよ、単に鼓膜のせいじゃ

ない、脳の働きの問題です。  分からないぞー、と脳が叫んでいる。

 

電車の音もイヌの鳴き声も、基本的に<電車>や<イヌ>というもの

を知っていればこそ、どんなにかすかでも短くとも、それだ!と認識

できるわけ。  知らないものは、いくら聞こえても分からない。

 

同様、アイウエオ、たった5個の母音しか無い日本語で出来上がって

しまっている日本人の脳では、ほかの言語の多様な<音>が識別でき

ないわけですな。  だから、鼓膜が振動しても脳は知らん顔、、

 

この<障害>を克服する方法はただ一つ。  改めて脳に教えること。

刻んでおく必要のある<音>を聴きまくること。  

 

*   *   *

 

とは言うが、何を聴いても役に立つわけじゃなかろう。  せっかく

努力するなら、実る努力をしようじゃありませんか。  もちろん、

 

方法は色々ある。  昔と違って、今はメディアに<マルチ>がつく

くらい。  専用<教材>ではなくとも、レコードや映画も活用でき

ます。  まあ、映画は必ずしも適切でないことが多いけれど、、

 

何故なら、特定の時代や階層、特殊な世界、特別なキャラクター、、

つまり、何らかの<特徴>を描いて成り立つのが映画ですからね。

 

それが運良く<用途>にピッタリなら極上の教材にもなるでしょうが、

そんなことはむしろ例外的でしょう。  たとえば、

 

先日ケーブルTVで観たのは<秘密と嘘>なる英国映画(96年作品)

でしたが、その中で主人公が「シルベスター・スタローンの言うこと、

まるで聴き取れないのよ、私」と言うと、相手が「私もよ」と応じ、

二人で大笑いするシーンがありました。

 

イングリッシュ・ネイティブにしても、分からないものは分からない

のだ!  やれやれ、心が安まるぜ。  スタローンの分からなさは

<ロッキー>以来、底辺的階級の会話だからか、だみ声のせいか、と

疑っていましたが、やはりフツーじゃないんだ、、

 

少なくとも私が付き合ったインダストリアルな世界の人々は、あんな

分かりにくいしゃべり方はしなかったし、訊き返せば別な表現で言い

直してもくれました。  スタローンだって、頼めばちゃんと喋って

くれるのかも知れないが、とにかくあの不明瞭さは<工業向き>じゃ

ない、と思います。  しかし、そういう人もいるだろう。

 

人間の言葉だから分かるはず、、 と気負い込む必要はない。 最悪、

紙と鉛筆を渡し、相手に書いてもらえば宜しいではありませんか。

大切なのは聴く心、訊く姿勢です。

 

「聴く耳を持たない」とは聴く気が無いということ。 気は即ち心、

心は脳の働き。  やはり言葉は脳で、心で聴くものなのです、、、  

 

***************

 

 

 

●とは言うが、やはり

<耳>を磨いておくに越したことはありません。

 

たまたま自分がそれでうまく行ったから、でしょうが、前号に述べた

通り、アチラ製懐メロ、いわゆるスタンダード・ナンバーのレコード

に耳を傾けるのが一番だ、と私は今でも思います。

 

正統派の歌手なら、まず発音から訓練を受けます。 つまり品質保証

付きの発音、しかもレコードですから、何遍歌わせても嫌がらない。

 

オペラなどクラシックの発音は日常的でなく、アチラの人も分からず

に<聞>いていること、スタローン並み。  しかしポピュラーでも、

ビートルズ以後はイェイとかヤーとか、ほとんど<雑音>ですから、、

 

ましてラップは論外。  ビジネス・トークは多少とも<品>の良さ

を必要としますからね。  あれが応用できるビジネス、あるかな?

無くはないだろうけれど、フツーのビジネスじゃなさそうですね。  

 

 

さてスタンダード・ナンバー。  これをどう聴くか。

 

「録音教材を用いるなら、音の芯に耳の芯を合わせて聴くこと」。

スピーカーの中心線上に耳を持っていって聴くのが良いそうです。

 

中心を外れると音が歪む。  歪んだ音を脳に刻み込んではダメ、

だと。  ウォークマン以来の<インナー・フォーン>は、その

点で理想的。  ああいうものも、昔は無かったよなあ、、

 

高2の秋(昭和27年)初めて我が物としたレコード・プレヤーは、

ラジオにつないで用いるオモチャ同然の代物でしたが、一応電化

製品。 当時米軍オフィスでタイピストをしていた姉が、ある日

ジョルスンのレコードを入手、それを聴くために急遽共同購入。

 

折しも大学受験勉強中で、大っぴらには聴けない。  親が心配

しますからね。  そこで一家寝静まった深夜、(狭かったので)

音量を最小限に絞り、スピーカーに耳をくっ付けて聴く、、

 

そうとは知らず、<正しい>聴き方を実行していたわけですな。

片面に1曲しか入ってない10インチSP盤。  僅かな枚数を

繰り返して聴くほか無く、まさに<一つ覚え>でした。

 

以来 Hi-Fi の道に進むことになりましたが、それは言い換えれば

<歪みとの戦い>の世界。 そして聴き続けたのがスタンダード・

ナンバー。  たまたまの結果として生じた英語的実益でした。

 

好みは(前号に述べた)<ベルター>、しかし教材として役立った

のはむしろ<クルーナー: crooner >。  ビング・クロスビーや

ペリー・コモ、ずっと楽に唄うスタイルです。 力の入りすぎない

ところがいわば日常会話風でもありましたから。  つまり、

 

*   *

 

喋り言葉のイントネーションそのままに日常語で歌われる。 それ

に比べ、日本語の歌は美文が過ぎて現実的でなかったり、曲の抑揚

と言葉のそれとが一致しなかったり、変なところで息継ぎしたり、、

 

日本語自体が、西洋音楽には載りにくい言語なのかも知れません。

あなたの周りに、歌で日本語をマスターしたガイジンさん、います

かな?  いないんじゃないかな?  もっとも英語の歌も、

 

サイモンとガーファンクルの辺からやや難しくなり始め、曲とイン

トネーションの一致も昔ほど厳密ではなくなっているようですが、、

 

長い年月の経過に耐えて生き残り、安定した価値が認められるもの

を<古典>、即ちクラシックと言う。  つまり、スタンダード・

ナンバーはすでにクラシック、だと私は認めています。  勉強は

やはり<古典>から、ですよ。

 

*   *   *

 

ケンタッキーなどでは口より鼻で喋る感じで、訊き返さずにいられ

ませんでしたが、それは私でなくともヨソ者ならあることでしょう。

 

ともかくそんな具合で、初めてアメリカを旅した時から、こちらの

話が通じなかったことは無かったし、相手の言葉も聴き取れました。

 

憶えている失敗は、一度だけ。  ある日の朝食で、連れの弟子が

「レモネードが飲みたい」。  で、舌先を上の前歯の裏に当てて

Lを発音したが、、 来たのは何故かマーマレード。  え???

 

その経験をあちらの人に話したら、「そりゃ注文がオカシイんだよ。

レモネードは朝の飲み物じゃないからね」 

 

むしろウエイターは気を利かせたんだな。  朝ならマーマレード、

相場は決まってるんだよ、と。  いわば生活的コンテンツの問題。

 

*   *   *   *

 

というわけで、聴き取りはたしかに<音>への反応ではありますが、

正しく反応するには、その音自体、及びその音の発生源周辺の情報

一式が脳に収まっていなくてはならないようです。  

 

つまり脳の働き自体は一種の<プロセス>で、それが十分機能する

には<コンテンツ>の裏付けが必要、ということ。

 

  Rational Process に置き換えても同様です。  それを用いて

 効果を挙げるには、その用途に沿ったコンテンツが必要です。

 

 いわゆるコンサルタントは主にプロセス( Rational Process と

 は限りませんが)を駆使して知的サービスを提供する人ですが、

 営業の、財務の、製造の、と専門領域が分かれるのは、その人の

 コンテンツが、それぞれの向きに限られているからです。

 

だから英語も、どこへ行くか、誰と話すか、何について、、と予定

が立つに従って、あらかじめコンテンツの蓄積・整備に努めること

を怠ってはなりません、、、 タテマエとしては、ね。

 

しかし、我々は異国人。 相手についての完璧なコンテンツを持つ

ことなど望んでも無理。  肝心の場面で、不足! と判明する。

 

しかし立ち往生するわけには行かない、、 不足はその場所で手に

入れるほか無い。  そのためには、、、?  質問しなくちゃ。

 

いわば、コンテンツの現地調達。  その方法としての質問の仕方

も身に着けておくことが必要です。  私が用いた副読本の一つ、

 

「英語で取り引きする方法」(ビジネス社 昭和44年)には、

< The Art of Asking and Answering Questions > という章があり、

 

  どんなスキルを学ぶにしても、それについて質問できるように

  なることが一番大切。 言語修得においては特に、、

 

  外国人と取り引きする際、重要事項を明確にする質問を怠ると

  深刻なことになりかねない。  質問することは難しくはない、

  基本的ルールを知りさえすれば、、、

 

  日本人はあいまいな質問と答えを交わすのが普通だが、英語圏

  ではそんなことは滅多に無い。

 

  質問の仕方は芸術ですらある。 自分が知りたいことを答えて

  もらえるように訊かなくてはならない。  だから訊く前に、

  自分が知りたいのは何か、をハッキリさせなくてはならない。

 

  西洋にも<儀礼的質問>が無いわけではないが、日本人はそれ

  が多すぎる、、、

 

など、アタリマエなこと、耳の痛いこと、きわめて具体的に教えて

くれています。  ウォルファーレンとマレットの共著、、 え?

 

そうだったんだ!  「人間を幸福にしない日本というシステム」

の著者カレル・ヴァン・ウォルフレン、、 彼だったのです。

 

道理でズバズバよく切り込んでくれるわけ。  昔からそうだった

んだな、と一人で頷いたり。  それを読んだ頃は未だ Rational

Process など知る由も無く、その内容も副題通り、<ビジネスマン

英会話入門>で、<質問>に特化されたものではなかった。  が、

 

要領は掴ませてもらえたし、かなりの成果を得ることが出来た、と

いうことは前号までの通り。  大変役に立ちました。  つまり、

 

優れたハウツウものには、このように、それとなく<プロセス>が

織り込まれているのですね。  だから、

 

(KT法やEM法という)プロセス技法自体を修得なさったことは、

あなたの英語修得・活用にも有利だったということ。

           そうお考えになったこと、ありましたか?

 

要するに、言葉は心で聴くもの、場合によっては<訊くもの>です。

その<聴く心>を支えるのは<訊く技術>、、 

 

これでまたCMが一つ、

        Rational Process は(英語)聴き取りのツール! 

 

                        ■竹島元一■

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